世界遺産モン・サン・ミッシェルを訪ねる

フランス西海岸、サン・マロ湾に浮かぶ小島であり、カトリックの巡礼地として知られる修道院、モン・サン・ミッシェル。
1979年ユネスコの世界遺産にも登録された、フランスへ来たら一度は目にして欲しい幻想的な風景。
しかし、いざ行くとなるとパリから約300kmの旅。どう行けば、現地滞在をお得に、快適に楽しめる?
モン・サン・ミッシェルを訪れるとなると、ツアーに参加するか自分たちで行くか? パリから離れていることや安心を考えると、ツアーの利用が多いように思います。
入念な現地リサーチと経験をもとに、ユーロウォーカーがオススメする行程は2種類。
1つは、往路、パリからモン・サン・ミッシェルまでをバス、帰りは最寄りのレンヌ駅からパリを鉄道(TGV)で、というMixコース。
そしてもう1つは、移動時間短縮を極力少なく、TGVを堪能したい方に、パリとレンヌ間を往復とも鉄道で行くコース。どちらにも良さがあります。
日帰りか1泊か?
できるだけ効率的に時間を使いたい、1つの場所に時間を使い過ぎたくない気持ちは分かりますが、パリからモン・サン・ミッシェルへ、日帰りでは往復約10時間もかけて、滞在4時間。モン・サン・ミッシェルの一番の魅力ともいえる、夕暮れ〜朝焼けの風景を見ずに去ってしまうのはもったいない。時間がゆるせば、ぜひ1泊をおすすめしたい所です。
往路はバスか鉄道か、選べるユーロウォーカーで
モン・サン・ミッシェルに期待を膨らませて
バスで行くなら、朝7時半にパリを出発です。デラックスバスに揺られ、車窓はフランス内陸の景色が続きます。
バスの中では、アシスタントさんから日本語でモン・サン・ミッシェルについていろいろな事前知識が得られます。
ここで聞けた歴史や修道院のお話は、とても面白く現地で思い出せました。

バスの中にも非常用トイレはありますが、ちょうど車中に飽きてくる頃、オンフルールという小さな港町でトイレ休憩をかねて途中下車。
オンフルールは印象派発祥の地といわれ、画家ウジェーヌ・ブーダンの故郷。彼の影響でセザンヌ、モネといった画家たちが訪れ、のどかな港の風景を描いたといいます。また、音楽家であるエリック・サティが生まれた町でもあります。石畳の路地やノルマンディー独特の古い木造の家並みなど、大変風情と趣きに満ちています。

往路、鉄道で行く場合は、9時5分にパリのモンパルナス駅からTGV(2等席)に乗車します。レンヌ駅まで約2時間、列車の旅です。
「フランスといえばTGVに乗ってみたい」と憧れる人も多いはず。旅先で列車に乗るのは独特の高揚感があります。
席は2列―2列でゆったりしていて、揺れも少なく快適。荷物置きも充分にあります。
レンヌ駅に着いた後は、乗り換え用接続バスでモン・サン・ミッシェルまで1時間15分。

どちらの行程でも、ちょうど昼どきには対岸から遠景に、モン・サン・ミッシェルが出現。ついに来た!
バスを降りて、これから向かう全景を写真に収め、島内へ。
歴史に築かれた修道院
時はランチ。島内にあるレストランは10軒ほど。さっそく、名物「ふわふわの巨大オムレツ」を食べてみたい。
オムレツの発案者は、モン・サン・ミッシェルで1888年創業のホテル「ラ・メール・プラール」を営んでいたマダム・プラール。島に渡ってくる巡礼者にお腹いっぱいになる食事を提供したいと、卵を泡立てて膨らませたオムレツを出したのが始まりとか。
但し、今やプラールおばさんの意思は受け継がれず、値段は1つ35ユーロ。正直、“2人で1つ”くらいが正解でした。やってきたお皿いっぱいのふわふわオムレツ、見た目からスフレみたいなものを想像して食べてみると、「泡?」「味がしない」「……?」
いろいろ表現はあるでしょうが、言葉通りオムレツは一度の体験で良いようです。
定番でおすすめの「シードル」はノルマンディー地方の名産、リンゴ酒。アルコール分はビールと同じ5%で、甘さ控えめのソーダが飲みやすく好評です。
さらに名物「ラム肉」は、肉厚で柔らかく大満足。その他デザートも美味しくて、オムレツ以外は素敵な昼食なのでした。

さて、修道院の建つ山の上へ。

商店が連なる賑やかなGrand Rue大通り(と言っても曲がりくねる細い路地)を行くか、海沿いの城壁を渡って行く、どちらにしても階段をゆっくり、ひたすら登りましょう。

修道院への立ち入りは以下の通り。
●開館時間
5月2日〜8月31日 09:00〜19:00(最終入場18:00)
9月1日〜4月30日 09:30〜18:00(最終入場17:00)
休館日 1月1日、5月1日、12月25日
入館料金 年齢によって異なるが、25歳以上は9ユーロ。オーディオガイド(日本語あり)は4.5ユーロ。
日帰りツアーの場合は、1時間ほどかけて修道院を見て、お土産の買い物を楽しんだら、もう帰路へ。やはり日帰りでは、かけ足ツアー感は否めません。
お土産を買うなら、定番のメルプラールクッキーや、塩も人気です。その他、ノルマンディ地方名物のミルクジャムやキャラメルクリーム、オムレツ作りのキッチングッズなども。
また島内にある郵便局でモン・サン・ミッシェルの切手を買って、モン・サン・ミッシェル消印のハガキを家族や友人、自分宛に送って……みました。後から思い出す楽しみ、良いですね。

修道院内の見学は、見学コースに従って歩きます。
モン・サン・ミッシェルの歴史
西暦708年、アブランシュのサン・トベール司教が見た3つの夢を元に創られたと伝えられ、その当時からキリスト教巡礼値の1つとなっています。
西暦千年以上前には、前ロマネスク様式の教会が建てられました。
11世紀に入ると、地下納骨堂の上を被うように岩山の頂点にロマネスク様式大聖堂が作られ、北壁に張り付くように最初の修道院が建てられました。
12世紀には、修道院が西側と南側に向かって拡張されました。
13世紀、ノルマンディー征服に続き、フランス国王、フィリップ・オーギュストからの寄贈によって、クロイスターと食堂を頂点に置いた3階建て2棟を含むゴシック様式の部分全体の工事が完成しました。
14世紀、百年戦争の間には修道院防衛のため、要塞化工事が必要となりますが、要素は実際に30年にわたる攻城戦に耐えました。
15世紀、ロマネスク様式の内陣がゴシック・フランボワイアン様式のものに置き換えられました。
フランス革命から第二帝政時代までは牢獄に変身し、僧院は1874年以降歴史記念物局の管理下に置かれ、年間を通して一般公開されています。
1969年以降、修道会僧侶により常時聖職者の活動も営まれています。
僧院
見学は、11世紀から16世紀の歴史をテーマに、個人でまたはガイドと一緒に、歴史記念物局の解説者の案内付きグループ見学となります。
岩山を巡る見学では、1世紀を費やして完成された修道建築とその中で育まれた修道生活を伺い知ることができます。
現在もいくつかの建物は、礼拝のために修道会が専用で使用しています。
夕暮れから朝。厳粛な気持ちで目にする幻想の情景
夕暮れ時。日帰り客がいなくなり、昼間の賑やかさが嘘だったように閑散として静まり返った島内は、中世の雰囲気をさらに濃くします。
夕日が沈み、闇が広がる中、島全体が浮かび上がるように寺院がライトアップされる様子は、時代を超えて人の心を厳かにし、清められるような気がします。これを味わうために、パリからの少々長い道のりを、世界中の人々が辿るのかと納得がいく瞬間。

まだ疲れていなければ、約15分おきに島内と対岸を結ぶシャトルバス(朝8:00〜深夜1:00まで運行。行程2km/約5分)に乗って、夕景の島と対岸を行き来してみるのも良いでしょう。

ホテルで僧侶の習慣を想像しながら早めの眠りについた後、また早起きして、再び目にする島と水平線を染める朝焼けも、まさに幻想の情景。数百年をかけて紡がれたモン・サン・ミッシェルの歴史とヨーロッパ人の営みが、体全体に染み込んでいくように、今日もまた歴史の1ページとなる新しい1日が始まるのだなぁという感慨に浸れるのです。

もし対岸のホテルに泊まったなら、雄大なモン・サン・ミッシェルの眺めを一晩中楽しんだ後、朝焼けの島に向かって歩いてみるのも良いかも知れません。

冬は7時前には日が暮れるので、日帰りでも夜景が見られるツアーもあります。夏のライトアップなら、1泊しての特権。
1泊する間に、潮の干満を両方体験することもできます。干潮時は干潟となり、モン・サン・ミッシェルは陸続きの島となります。
また、月に2度の大潮の時に訪れると、大きな干潟や、海岸にある駐車場にまで海水が満ちて海上の要塞と化すモン・サン・ミッシェルの姿、そして川が流れるように潮が満ち始める様子も見どころです。
TGVでパリへ。2度乗れば、もう旅慣れた気分に。
ホテルで朝食を食べた後、午前中に島を出発。島の入口からバスに乗って、約1時間半でレンヌ駅へ。
バスはかなりの大型で予約などは要りませんが、トイレは付いていないので先に済ませておかないと1時間半は行けません。
往路はバスのみで来た人も、レンヌ駅でバスを降りた後、バス発着所のすぐ隣が駅なので、ユーロウォーカーでお渡ししているご案内を見ながら行けば初心者でも迷う心配はありません。
レンヌ駅からTGVに乗れば、約2時間でパリのモンパルナス駅です。

往復の手段を別にして、バスでアシスタントさんからさまざまな知識を得たり、オンフルールに寄って行くもよし、少しでも移動時間を短縮して、往復TGVの小旅行もよし。どちらも1泊2日のモン・サン・ミッシェルを充分満喫できるコースです。
フランスへ行くなら、ぜひ一度は「モン・サン・ミッシェルを巡礼」してみてはいかがでしょう?

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